ワイヤー矯正とは？

ワイヤー矯正とは「ブラケット」という矯正装置を歯につけて、そこに通したワイヤーを締めながら歯並びをよくする方法です。歯を動かしたい方向に適切な矯正力を加え、少しずつ歯を移動させていきます。適応している症例は幅広く、対応できる歯並びが多い矯正方法です。

ワイヤー矯正は、ブラケットをワイヤーで引っ張ることで歯が移動します。このときに歯の根っこにも矯正力がかかり、「歯根膜（しこんまく）」と呼ばれる組織が、伸びたり縮んだりします。

歯根膜とは、歯の根の外側にある組織で、緩衝材の役割を持っています。矯正の力が働くことで、歯根膜の厚みを変化させて、歯を動かすのがワイヤー矯正の仕組みです。

ワイヤー矯正のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット	・取り外しをしなくてよい・適応症例が多い・強い強制力をかけられる・歯の微調整がしやすい
デメリット	・比較的痛みが出やすい・ワイヤーが目立つ・歯磨きがしにくい・食事がしにくい

ワイヤー矯正は適応症例が多く、歯並びの叢生(ガタガタ)が激しくても改善が見込めます。歯の一本一本に矯正装置をつけるため、歯の移動をコントロールしやすく、精密な矯正が可能です。このようにワイヤー矯正は、非常に細かい調整ができるのが大きなメリットです。

デメリットは、矯正器具が目立ちやすく、歯磨きがしにくい点です。見た目を優先したい方は別の矯正方法を検討してもいいかもしれません。

ワイヤー矯正とマウスピース矯正の違いを比較しましょう。

ワイヤー矯正の費用は100万円前後が相場で、毎月の通院費用も必要です。

一方、マウスピース矯正はワイヤー矯正よりも通院頻度が少なく、トータルの費用を抑えられるケースも少なくありません。

ただし、適応症例の多さはワイヤー矯正が優れているため、マウスピース矯正とどちらがいいか悩んでいる場合は、まずは矯正前の適性診断を受けてみましょう。

ワイヤー矯正の種類

ワイヤー矯正の種類は複数あり、ブラケット装置とワイヤー装置をつける位置を選べます。

それぞれの特徴を見てみましょう。

・唇側矯正(表側矯正)
・舌側矯正(裏側矯正)
・ハーフリンガル矯正

唇側矯正とは、歯の表側にブラケットとワイヤーを装着する矯正方法です。一般的には金属素材の矯正装置が使用されますが、透明で目立ちにくいブラケットやワイヤーで矯正をすることもできます。

舌側矯正とは、歯の裏側にブラケットを装着して矯正する方法で、周囲からはほとんど見えません。そのため、表側に矯正装置をつけることに抵抗がある人に向いています。

ハーフリンガル矯正とは、上の歯を裏側矯正、下の歯を表側矯正で治療する方法です。2つのいい部分を合わせた矯正方法で、裏側矯正よりも費用を抑えられます。見た目も表側矯正より目立たないのが特徴です。

ワイヤー矯正で使う装置には、いくつか種類があり素材や費用が違います。

装置の種類は以下の通りです。

矯正装置の種類	特徴
セラミックブラケット	・セラミック素材でできたブラケット・自然な色合いだが費用が高い
メタルブラケット	・歯科矯正でよく使われるブラケット・比較的安いが見た目は目立つ
プラスチックブラケット	・プラスチック素材で作ったブラケット・目立たないがセラミックより劣る
リンガルブラケット	・歯の裏側に取り付けるためのブラケット主に裏側矯正で用いられる