すきっ歯や出っ歯など、「前歯の歯並びだけを整えたい」という方は少なくありません。
前歯だけを治療する矯正は一般的に「部分矯正」といい、歯列全体を矯正する場合と比べて比較的負担が少ないのが特徴です。
今回は前歯だけを矯正する方法と、治療にかかる費用や期間について解説します。
前歯だけを矯正する「部分矯正」とは?
前歯を含む数本だけを対象とする矯正方法を「部分矯正」といいます。
部分矯正は一般的に、全体矯正に比べて費用を半分〜1/3程度に抑えられ、矯正期間も全体矯正に比べて短いのが特徴です。
しかし、部分矯正は期間や費用を抑えられる代わりに、適応できる症例は多くありません。
全体矯正と部分矯正の主なメリット・デメリットは以下の通りです。
部分矯正 | 全体矯正 | |
メリット | ・気になる箇所のみ矯正できる ・全体矯正に比べ費用が安い ・比較的短期間でできる | ・適応する症例が多い ・噛み合わせが改善できる ・奥歯の歯並びも矯正可能 |
デメリット | ・できる症例が限られる ・噛み合わせまでは治らない | ・部分矯正と比べて期間が長い ・部分矯正と比べて費用が高額 |
前歯だけ矯正できる矯正方法
部分矯正はワイヤー矯正(表側矯正・裏側矯正)、マウスピース矯正で行うことができます。
ワイヤー矯正においては、表側矯正では2~6本の歯に矯正器具を装着し、裏側矯正では歯の裏側に矯正器具を装着します。
マウスピース矯正では部分矯正であっても歯の全体にマウスピースを装着するのが特徴です。
矯正方法の特徴と、部分矯正にかかる一般的な期間や費用については以下の通りです。
特徴 | 期間 | 費用 | |
表側矯正(ワイヤー矯正) | ・矯正装置が見える ・口腔ケアがしやすい | 2ヶ月~1年程度 | 30~60万円 |
裏側矯正(ワイヤー矯正) | ・審美性が高い ・口腔ケアがしにくい | 5ヶ月~1年程度 | 40~70万円 |
マウスピース矯正 | ・審美性が高い ・矯正装置着脱可 | 2ヶ月~1年程度 | 10~40万円 |
前歯だけの部分矯正ができる症例
部分矯正は基本的に前歯に適応され、症例も軽度の不正咬合などに限られます。
部分矯正ができる具体的な症例は以下の通りです。
軽度の出っ歯・すきっ歯
「歯がすこし前方に出ている」「唇を閉じても少し歯が見えてしまう」など、軽度の出っ歯であれば部分矯正で歯の位置を後方に動かすことができます。
すきっ歯も同様に、歯の隙間を目立たなくなるよう歯の位置を部分矯正で動かすことが可能です。
軽度の不正咬合
骨格やあごの大きさが影響ではなく、上下の歯の位置がずれていることで噛み合わせが悪くなっている場合は部分矯正で改善を図れる可能性があります。
なお、歯の位置や向きによってはスペースを確保するために歯を削ることもあります。
一方で、抜歯が必要になるような重度な症例は、基本的に部分矯正適応外です。
軽度の乱杭歯
隣の歯に少し重なっている、歯が少し斜めに生えている状態を「乱杭歯」(らんぐいば)といいます。
軽度の乱杭歯であれば、歯の向きを部分矯正で整えることが可能です。
歯の傾きによっては、スペース確保のために歯を削ることもあります。
抜歯が必要になる場合は部分矯正適応外になります。
前歯だけの歯列矯正ができない症例
重度の不正咬合などは、基本的に部分矯正の適応外となります。
理由としては、抜歯や奥歯を動かすなど前歯だけの矯正では歯列を整えることが難しいためです。
「骨格やあごの大きさによって歯が収まらない」「歯が完全に前後に重なってしまっている」といった症例は全体矯正が適しているケースが多いでしょう。
なお、全体矯正は多くの症例に適応します。
前歯だけ矯正したい場合も適性診断を受ける必要があるので、まずは矯正歯科で検査を受けてみましょう。
当院ではマウスピース矯正の適性検査を無料で実施しています。ぜひお気軽にご相談ください。
部分矯正に関するFAQ
最後に部分矯正にまつわるよくある質問をご紹介します。
部分矯正はどこの歯を矯正するのですか?
部分矯正は、上下の前歯部分(正面の歯から数えて3番目の歯まで)が対象です。上下あわせて12本の歯を矯正することが多いです。
部分矯正ができる歯並びは?
基本的には奥歯の噛み合わせに問題がない、出っ歯やすきっ歯など前歯の位置を変えればいい症例に限られます。
マウスピースの部分矯正はどうやってやるの?
マウスピース矯正では、部分矯正でもすべての歯にマウスピースを装着します。
自由に着脱できる点がメリットですが、1日20時間以上の装着時間を守ることが大切です。
部分矯正の通院頻度は?
ワイヤー矯正(表側・裏側矯正)の場合は、基本的に1ヶ月に1回の通院頻度となります。
マウスピース矯正の場合は歯科医院にもよりますが、トラブルがなければ2~3ヶ月に1回、または通院不要の場合もあります。
前歯だけの矯正ができるか矯正歯科に相談を
前歯だけの矯正をしたい方は、治療期間や費用を抑えられる部分矯正を検討してみましょう。
重度の不正咬合は適応外になるため、ご自身の歯並びが部分矯正治療の適応があるかどうかまずは歯科医院に相談することが大切です。
当院では、部分矯正の適性診断を無料で実施しています。ぜひお気軽にご予約ください。