歯医者でホワイトニングを頼んだら、その場で何が始まるのか。行く前には見えにくい部分だと思います。
公益社団法人 神奈川県歯科医師会が公開している解説には、ホワイトニングを希望する場合には事前に歯科医師による診察および十分な説明を受けた上で、自分の生活スタイルや管理状況に適した方法を選択することが重要だ、とあります。薬剤や方式を選ぶより手前に、診察と説明の段が置かれているという書き方です。
では、その段で歯の色はどう扱われるのか。同会が公開しているもう1本の解説を読むと、歯科医院が歯の色を見るときの道具と、その道具が何を分けて記録するようにできているかが分かります。
「白くしたい」という希望は、そのままでは処置に変換できません。ここでは、歯科医院が歯の色をどう見ているのかを、道具の側から開いていきます。
「白くしたい」だけでは、まだ何も決まっていない
希望を伝えた時点では、選択肢はまだ絞られていません。
「ホワイトニング」が指すものは1つではない
歯の色をテーマにしたほうの解説は、最初の見出しの下で、歯のホワイトニングにはホワイトニング剤を使う方法と、人工の歯をかぶせる方法などがある、としています。執筆しているのは同会の会員である歯科医師で、記事の末尾に所属と氏名が記されています。
「歯を白くする」という言葉が、最初から複数の処置を指しているということです。歯医者に「白くしたい」と伝えても、返ってくる答えが薬剤の話だけとは限りません。
気になっている色が、どこから来ているか
もうひとつ、その手前に別の分かれ方があります。見えている色が表面に付いた着色によるものなのか、歯そのものが持っている色なのか、という分かれ方です。こちらは自宅でのホワイトニングは2種類ある|市販品と歯科の薬剤は何が違うのかで扱っています。
この先で出てくる色相と明度は、その色がどこから来ているかにかかわらず、見えている色調そのものを記録するための軸です。どちらの分かれ方も「2つに分ける」という言い方になりますが、扱っている階層が違います。
歯の色調は、2つの軸で見られている
白いか白くないかという1本の物差しでは見ていません。
色相と明度
歯の色をテーマにしたほうの解説によれば、歯の色調を決める要素には色相と明度があります。歯には人それぞれオレンジがかった色、黄色っぽい色、透明色、グレーがかった色などさまざまな色合いがあり、これを色相と呼びます。そこに色の明るさの段階を示す明度が加わって、歯の色調ができている、という説明です。
日常の言葉だと「白い」と「黄色い」は同じ物差しの両端に見えます。ところが歯科の見方では、色の系統と明るさは別々の軸です。同じ黄色っぽい系統のなかにも明るいものと暗いものがあり、そこを分けて記録します。
分けて記録するための道具がある
その道具がシェードガイドです。同じ解説は、歯科医師が歯科技工士などに治療前後の歯の色調を伝えるときに、ほとんどの歯科医師がドイツのVITA社製の「シェードガイド」という色見本を使用している、としています。
構造も説明されています。歯の色相をオレンジがかった色(A系)、黄色っぽい色(B系)、グレーがかった色(C系)などにグループ分けし、さらに色相別に明度を3〜4段階に分けて評価する。加えて、歯の明度だけを評価するものもあり、白く明度が高いものから黄色っぽくて明度が低いものまで16段階に分類できる、と書かれています。
色の系統と明るさを別々に記録する仕組みが、道具の側にあらかじめ入っているわけです。分けて見ているという話が、そのまま形になっています。
この記述からは、もう一点読み取れることがあります。色調を伝える相手がいるという点と、伝えるのが治療前後である点です。主観の言葉では相手に同じ色が浮かばないので、共通の色見本を挟む。そして前と後で扱うのだから、色を見る作業は開始前の一度で終わりません。
2軸のうち、記録が動きやすいのはどちらか
同じ解説によると、通常のホワイトニングで明るくなるのは明度のほうで、色相にはあまり変化がないことが多いとされています。
2軸のうち動きやすいのは明るさで、色の系統は残りやすい。つまり「白くなる」という言葉が実際に指しているのは、明度の側の移動です。もとの色相がオレンジ寄りなら、明るくなったあともオレンジ寄りのまま進むことが多い、ということになります。
ここが噛み合っていないと、話がずれます。目標のほうが色の系統まで変える前提で置かれていると、記録されている軸と目指す先の軸が別のものになるためです。
鏡で見た印象は、記録の代わりにならない
自分でも毎日見ているのだから、だいたい分かっている。そう感じる方も多いと思います。ただ、鏡で見る条件には揺れがあります。
同じ解説は、歯の色調は照らし出す光線の種類によっても見える感じが違ってくるとしています。太陽光や蛍光灯、LEDや白熱灯のもとでは、それぞれ色合いが変わってくる、という説明です。洗面所の鏡で見た色、外で撮った写真の色、店内の照明の下で見た色。どれも同じ歯なのに印象が違うのは、この理由で説明がつきます。変わっているのは歯ではなく、当たっている光のほうです。
条件が揃っていない比較は、変化と揺れを分けられません。今日の洗面所と1ヶ月前の外光を見比べても、差が処置によるものかどうかは言えないままです。色見本を当てて記録するというやり方なら、この揺れに左右されにくくなります。同じものさしを同じように当てれば、少なくとも比べられる形の記録が残ります。
ただし記録が固定するのは、比べるための位置であって、見え方そのものではありません。医院で記録した色と、翌日に職場の照明の下で自分に見える色は、同じ歯でも違って映ります。日常でどう見えるかまでは、色見本には入っていません。ここを分けておかないと、記録上は動いているのに実感が伴わない、という食い違いが起きます。
色を記録すると、決まること
現在地が形になると、止まっていたものが動き始めます。
目標が「どこまで」から「どこへ」に変わる
記録する前の目標は、たいてい「もっと白く」という形をしています。これは終わりが決まらない置き方です。
現在地が記録されると、そこからどこへ動かしたいのかという形に変わります。到達点そのものを言葉で決めるより、この置き方のほうが後で確認できます。
診察の段で、見られるものと聞かれるもの
ホームとオフィスの違いを扱った解説には、方法の選択より手前に診察と説明が置かれていました。同じ箇所には、むし歯や歯周病等の治療を優先すべき場合もある、とも書かれています。
同じ解説はもう一点、ホワイトニングの効果や経過には個人差があるとしたうえで、その要因として歯質、着色の程度、口腔内環境、生活習慣、使用状況等を挙げています。この並びは、診察と説明の段で確かめられる項目としても読めますが、性質が混ざっています。
歯質、着色の程度、口腔内環境は、口の中を見ないと分かりません。一方の生活習慣は、こちらから伝えないと伝わりません。見て分かる項目と、聞いて分かる項目が並んでいるということです。
聞く側の項目に答えられるのは自分だけです。そして5つ目の使用状況は、そのどちらでもありません。診察の時点ではまだ起きていないことだからです。
薬剤の側に進まない場合もある
冒頭に挙げた「ホワイトニングが指すものは1つではない」が効いてくるのがここです。人工の歯をかぶせる方法のような別の処置が話に入ってくるとすれば、それも診察と説明を受けたうえでのことになります。
方式そのものを比べる話はオフィスホワイトニングは1回で終わる?回数・持ち・しみやすさの関係に、目的から費用まで何をどの順で決めるかはホワイトニングは何から決める? 迷わないための決定の順序に分けて書いています。
説明を受けたときに、聞けること
記録は、色の系統と明るさの組み合わせで示されます。系統がA系なのかB系なのか、明るさがどのあたりなのか、という形です。
ここで聞いておけることが2つあります。ひとつは、いまの位置から動かしたときに変わるのがどちらの軸なのか。もうひとつは、自分が置いた目標が同じ軸の上にあるのかどうかです。どちらも見込みとして聞く話で、確定した数字が返ってくるものではありません。それでも確かめておくと、進めたあとで見込みとの差に気づく場面が減ります。
当院の場合、写真と色見本を使う
当院が扱っているのは、自宅で使う形のホワイトニングです。入口は無料のオンライン診療で、問診への回答と歯の写真をお送りいただき、それをもとに歯科医師がカウンセリングを行います。
マウスピースをお持ちでない方には、歯型スキャンのご来院をお願いしています。約15分のこの時間には、お口の中のチェックとレントゲン撮影のほか、お顔と歯の写真撮影が入ります。撮った写真はホワイトニング前後の比較に使うものです。ただし色そのものの見え方は光の条件に左右されるので、色を比べる側の軸になるのは色見本のほうです。
始めたあとは、ご自身で歯の色の変化を確認できるツール(シェードガイド)をご用意しています。記録した変化は歯科医師と共有でき、気になることはLINEやビデオ通話で相談できます。前と後で色を見るという流れを、自宅にいるあいだも続けられる形にしたものです。
費用は月ごとの支払いです。マウスピース作成を含む初月が22,000円(税込)、2ヶ月目からは11,000円(税込)。マウスピースをすでにお持ちの場合は、初月から11,000円(税込)です。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は、マウスピースをお持ちでない方が初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)・2ヶ月目以降11,000円/月(税込)、マウスピースをお持ちの方が初月から11,000円/月(税込)です。期間・回数は歯の状態により異なり、オンライン診療にもとづいて決定されます。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります。効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。
記録しても、事前には確定しないこと
現在地が形になることと、到達点が約束されることは別です。
どこまで動くかは、始める前には出ない
先に挙げた5つの要因のうち、使用状況だけは診察の時点に存在しません。始めてからの経過も結果に含まれるということなので、開始前の記録だけで着地点を出すことはできません。
自宅で進める場合に、その使用状況が具体的にどう効いてくるかはホームホワイトニングは何ヶ月かかる?白くなるまでと戻るまでの進み方に書いています。
記録にできるのは、出発点を固定することと、変化を後から確認できる形にすることまでです。
しみることがある
ホームとオフィスの違いを扱った解説は、一時的に歯がしみる症状が生じる場合があることを、自宅で行う方式と歯科医院で行う方式の両方の注意点として挙げています。色を見ても分からず、始めてから出るかどうかが決まる部分です。
症状が出たときや、それが続くときは、使用を続けずに歯科医師へご相談ください。
よくある質問
Q. 相談に行くと、その日に薬剤を使いますか。
A. 当院の場合、入口はオンラインでのカウンセリングです。事前の問診と歯の写真をもとに歯科医師がお話をうかがいます。マウスピースをお持ちでない方はそのあと歯型スキャンにご来院いただき、キットが届いてから開始という流れになります。
Q. 自分の歯が何色なのか、事前に調べておけますか。
A. 目安をつけること自体はできますが、鏡や写真は光の条件で見え方が変わります。色をテーマにしたほうの解説も、光線の種類によって色調の見える感じが違ってくるとしています。事前に調べるより、いつどんなときに気になったのかを伝えるほうが話が早く進みます。
Q. 「何トーン白くなる」と言ってもらえますか。
A. 効果や経過には個人差があり、歯質や着色の程度、生活習慣、使用状況などによって変わるとされています。開始前に到達点をお約束することはできません。代わりにできるのは、出発点を記録して、変化を後から確認できる形にしておくことです。
Q. 詰め物や被せ物があっても記録しますか。
A. します。色をテーマにしたほうの解説も、人工物が入っている部分では色が変わらず、周りとの違いが出るとしています。その関係が先に見えていると、目標の置き方が変わります。何が変わって何が変わらないのかは、ホワイトニングの値段はなぜ幅がある?総額を決める4つのことでも触れています。
Q. 診てもらったあと、その場で始めることになりますか。
A. いいえ。むし歯や歯周病等の治療を優先すべき場合もあるとされており、その場合はそちらが先になります。診察と説明を受けたうえで、進めるかどうかを決めていただいて構いません。
まとめ
歯医者でホワイトニングを頼んだとき、薬剤の話より手前に置かれているのは診察と説明です。そのなかで歯の色は、言葉ではなく記録として扱われます。
色は色相と明度という2つの軸でできていて、シェードガイドという色見本はその2つを分けて記録できるようにつくられています。動きやすいのは明度の側なので、「白くなる」が指しているのは主に明るさの移動です。
ここまで来ると、「もっと白く」という置き方が扱いにくかった理由が見えてきます。あの一言は、色を1本の物差しの上に置いています。歯科の側は2本で見ているので、そもそも同じ図に乗っていません。
かみ合うかどうかは、自分の希望がどちらの軸の話なのかが分かれているかで決まります。明るさを上げたいのか、色の系統そのものを変えたいのか。前者なら薬剤の話が続きますし、後者なら冒頭に挙げたもう一方、人工の歯をかぶせる方法のような処置が話に入ってきます。同じ「白くしたい」から、別々の場所へ分かれていくところです。
出典
- 歯のホワイトニングをしたい その前に知っておきたいこと(公益社団法人 神奈川県歯科医師会/執筆: 金子宣由)
- ホームホワイトニングvsオフィスホワイトニング(公益社団法人 神奈川県歯科医師会/執筆: 伊東聡)
大阪心斎橋矯正歯科のホワイトニング
通院の負担を抑えたい方に向けて、オンライン診療と自宅でのケアで進めるホワイトニングをご用意しています。3Dスキャンで採得した歯型からオーダーメイドのマウスピースを作成し、歯科医師の診断のもとでホワイトニング剤と知覚過敏抑制剤をお届けします。
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- しみる症状に備えた知覚過敏抑制剤を同梱。経過はLINEでご相談いただけます
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月から11,000円/月(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

