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親知らずの抜歯費用はなぜ幅がある?生え方と理由の2つで決まる

親知らずの抜歯費用を調べると、3,000円程度と書かれている記事もあれば、2万円を超えると書かれている記事もあります。同じ「親知らずの抜歯」なのに、5倍以上の開きがあります。

この幅は、2つの軸で説明できます。ひとつは生え方。まっすぐ生えているのか、埋まっているのかによって、行う処置の区分が変わります。もうひとつは抜く理由。病的な所見があるのか、矯正のためだけなのかによって、保険が使えるかどうかが変わります。

なお当院は矯正歯科であり、親知らずの抜歯そのものを行っているわけではありません。この記事は、矯正を検討する過程で親知らずの費用を調べる方に向けて、金額の決まり方を整理するものです。

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※自由診療。2020年1月~2023年7月Basicプランの実績値(戻り防止器具をつける保定期間を除く)。マウスピースを破損、紛失した場合などは別途料金が発生します。上下前歯の部分矯正プランを120回払いで支払う場合の分割支払い金額(初回3,519円総額420,019円)。

目次

費用は2つの軸で決まる

まず全体像を示します。

内容何が変わるか
生え方まっすぐ/分割や骨の削除が要る/埋まっている処置の区分
抜く理由病的な所見がある/矯正のためだけ保険が使えるかどうか

軸①は「どう抜くか」に関わる

歯がどう生えているかによって、必要になる処置が変わります。切開が要るか、骨を削る必要があるか、歯を分割するか。手間の量が違えば、費用も変わります。

軸②は「保険が使えるか」に関わる

一方、なぜ抜くのかという理由は、費用の計算方法そのものを変えます。保険診療になるのか、全額自己負担になるのか、という違いです。

片方だけでは金額が決まらない

重要なのは、この2つが別々に決まるという点です。

処置が難しくても保険が使えることがあり、簡単な処置でも自由診療になることがあります。片方だけを見ても、金額は決まりません。

同じ歯を同じ方法で抜いても、負担額は変わりうる

つまり、まったく同じ状態の歯を、まったく同じ方法で抜いたとしても、理由が違えば支払う金額が変わります。

記事によって示される金額が大きく違うのは、この2軸を区別せずに書いているためです。

軸①|生え方によって処置の区分が変わる

保険診療の場合、処置は生え方によって区分が分かれます。

状態必要になる処置3割負担での目安
まっすぐ生えている切開や骨の削除が不要3,000〜5,000円程度
一部が埋まっている・根が複雑歯の分割や骨の削除がある程度必要5,000〜8,000円程度
歯ぐきに埋まっている切開・骨の削除・歯の分割が必要8,000〜15,000円程度

まっすぐ生えている場合

上の親知らずに多いパターンです。通常の抜歯と同じ手順で対応できるため、区分としては最も手間が小さくなります。

分割や骨の削除がある程度必要な場合

歯の根の形が複雑だったり、一部が骨に覆われていたりする場合です。歯を分けて取り出す、周囲の骨を少し削るといった処置が加わります。

歯ぐきに埋まっている場合

歯が完全に、あるいは大部分が歯ぐきや骨の中に埋まっている状態です。歯ぐきを切開し、骨を削り、歯を分割して取り出すという流れになります。

横向きに生えている場合

下の親知らずで多いのが、手前の歯に向かって横向きに生えている状態です。この場合はまっすぐ引き抜くことができないため、歯を分割する処置が必要になります。区分としては、最も手間がかかるほうに入りやすくなります。

保険診療であれば、幅は医院の裁量ではない

ここは押さえておくとよい点です。保険診療で行う場合、費用は処置の区分によって決まります。医院が自由に金額を設定しているわけではありません。

「どの区分になるか」は、レントゲンなどで生え方を確認したうえで判断されます。

軸②|抜く理由によって保険の可否が変わる

もうひとつの軸です。こちらのほうが、金額への影響は大きくなります。

病的な所見がある場合は保険の対象

親知らずに次のような状態がある場合、治療として抜歯が行われるため保険の対象になります。

  • 智歯周囲炎を繰り返している(親知らずの周囲が腫れる)
  • 虫歯が進行している
  • 嚢胞ができている
  • 手前の歯に影響が出ている

病的な所見がなく、矯正のためだけに抜く場合

一方、親知らず自体には問題がなく、矯正治療の都合で抜く場合は、健康な歯を抜くことになります。この場合は自由診療となり、全額自己負担です。

金額は医院によって設定されますが、1本あたり5,000〜15,000円程度とされています。

「矯正のため」でも、保険の対象になりうる

ここが誤解されやすい部分です。矯正の相談で「親知らずを抜いておきましょう」と言われた場合でも、その親知らずに病的な所見があれば、保険の対象になりえます。

矯正治療そのものが自由診療であることと、親知らずの抜歯が保険で行えるかどうかは別の話です。

判断するのは歯科医師

⚠️ ただし、どちらに当たるかを患者が選べるわけではありません。レントゲンや口の中の状態を確認したうえで、歯科医師が判断します。

「保険にしてほしい」と希望して決まるものではないという点は、押さえておく必要があります。

矯正の側で扱われるか、別会計か

なお、抜歯にかかる費用が矯正の治療費に含まれるのか、別途になるのかは医院ごとに異なります。矯正における抜歯の扱いについては、以下の記事で扱っています。

矯正の計画のなかで親知らずをどう扱うかは、検査を経て決まります。当院では診察料・検査料が無料です。

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2軸を組み合わせると、金額の幅が説明できる

2つの軸を掛け合わせると、記事ごとに金額が違う理由が見えてきます。

まっすぐ生えている × 保険

最も負担が小さい組み合わせです。処置も簡単で、3割負担で済みます。

埋まっている × 保険

処置は大きくなりますが、3割負担であるため、負担額の増え方は抑えられます。

埋まっている × 自由診療

最も負担が大きくなりうる組み合わせです。処置に手間がかかり、かつ全額を負担することになります。

記事によって金額が違うのは、組み合わせを区別していないため

上位に並ぶ記事が示す金額に大きな開きがあるのは、どの組み合わせについて書いているかが明示されていないためです。

自分がどの組み合わせに当たるかを知らなければ、示された金額は参考になりません。

本数が複数あれば、それぞれで区分が変わる

親知らずは最大で4本あります。このとき、4本すべてが同じ区分とは限りません。上はまっすぐ生えていて、下は横向き、という状態はよくあります。

本数分を単純に掛け算しても、総額にはなりません。

処置以外にかかるもの

金額を見積もるときに抜けやすいのが、処置そのもの以外の費用です。

初診料

その医院にかかるのが初めてであれば、初診料が加わります。

レントゲン撮影・CT撮影

生え方を確認するために撮影が行われます。埋まっている場合や、神経との位置関係を確認する必要がある場合には、CTが使われることがあります。

撮影の費用は、レントゲンで1,000円程度、CTで3,500円程度が目安とされています。

薬の処方

抜歯後には抗菌薬や鎮痛薬が処方されることが一般的です。この費用も別に加わります。

処置の費用だけを見ると、総額と合わない

以上を合わせると、「抜歯の費用」として示されている金額よりも、実際の支払いは大きくなります。見積もりを立てるときは、検査と投薬を含めて考える必要があります。

なお、状態によっては入院を伴う場合もあります。抜歯全般の費用や、処置の流れについては以下の記事にまとめています。

保険の考え方は、矯正治療とは別

もうひとつ整理しておきたい点があります。

矯正治療そのものは原則として保険の対象外

歯列矯正は、限られた場合を除いて自由診療です。この条件については以下の記事で扱っています。

一方、親知らずの抜歯は病的な所見があれば保険の対象

同じ口の中で行われる処置でも、扱いが分かれます。矯正は自由診療、親知らずの抜歯は保険、ということが同時に起こりえます。

どちらも「原因が何か」で決まっている

両者に共通しているのは、何をするかではなく、なぜするかで扱いが決まるという点です。

矯正の場合は咬合異常の原因が問われ、親知らずの場合は抜歯の理由が問われます。判断の構造は同じです。

矯正が自由診療だからといって、抜歯も自由診療とは限らない

したがって、「矯正は自由診療だから、抜歯も全額自己負担だろう」という推測は成り立ちません。親知らずの状態によって変わります。

矯正の計画のなかでの位置づけ

親知らずを抜くかどうかは、矯正の方針と関わることがある

奥歯を後方へ動かす方針を取る場合など、親知らずの位置が計画に影響することがあります。そのため、矯正の相談のなかで話題になります。

要否を決めるのは検査と診断

⚠️ ただし、抜く必要があるかどうかは、記事の情報では判断できません。生え方、周囲の状態、矯正の方針。これらを合わせて診断されます。

矯正で抜く歯とは対象が違う

なお、矯正のためにスペースを作る目的で抜く歯は、多くの場合は親知らずではありません。どの歯が対象になり、なぜそうなるのかについては、以下の記事で扱っています。

時期についても計画のなかで決まる

抜くとして、いつ抜くのか。矯正を始める前なのか、途中なのか。これも治療計画のなかで決まる部分です。

矯正の計画と合わせて確認する

繰り返しになりますが、当院は矯正歯科であり、親知らずの抜歯そのものは行っていません。必要な場合は、対応している医療機関をご案内することになります。

そのうえで、矯正の計画のなかで親知らずをどう扱うかは、検査を受けることで見通しが立ちます。当院では口腔内をスキャンして状態を確認し、歯を動かした場合の歯並びを3Dのシミュレーションで見ていただけます。診察料・検査料は無料です。

⚠️ 抜歯を勧めるものではありません。必要かどうかは、検査と診断を経て判断される部分です。

自由診療に関する注記

マウスピース型矯正装置による歯列矯正は自由診療(保険適用外)です。マウスピース矯正 Oh my teeth の標準的な費用はLiteプラン 150,000円(税込・平均約2ヶ月)、Basicプラン 330,000円(税込・平均約3ヶ月)、Proプラン 660,000円(税込・平均約6ヶ月)です。記載の期間は歯を動かす矯正期間であり、後戻りを防ぐ保定期間は含みません。主なリスク・副作用として、歯の痛みや違和感、歯根吸収、歯ぐきの退縮に伴うブラックトライアングル(歯と歯の間の隙間)などが生じる場合があります。IPRを行う場合はエナメル質を削るため、知覚過敏が生じることがあります。重度の歯周病や顎関節症のある方、骨格性の不正咬合が強い方などは治療をお受けいただけない場合があります。なおLiteプランには安心保証制度・ワイヤー補償は付帯しません(Basic・Proプランのみ)。

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よくある質問

Q. 矯正のために抜く場合、保険は使えないのでしょうか。

A. その親知らずに病的な所見があれば、保険の対象になりえます。智歯周囲炎を繰り返している、虫歯が進行しているといった状態です。逆に、親知らず自体に問題がなく矯正の都合だけで抜く場合は、自由診療の扱いになるとされています。どちらに当たるかを判断するのは歯科医師であり、希望して決まるものではありません。

Q. 4本まとめて抜くことはできますか。

A. 状態と方針によります。全身への負担を考えて分けて行うことも、まとめて行うこともあります。まとめて抜く場合に入院を伴うこともあるとされています。判断は診察を受けたうえで行われます。

Q. 横向きに生えていると高くなりますか。

A. 処置の区分が変わるため、負担額は上がりやすくなります。まっすぐ引き抜くことができず、歯を分割する処置が必要になるためです。ただし保険診療であれば、金額は区分によって決まります。

Q. 抜歯の費用は矯正の費用に含まれますか。

A. 医院によって異なります。含まれる場合もあれば、別途になる場合もあります。矯正における抜歯の扱いについては抜歯矯正はどの歯を抜く?本数・タイミング・その後の流れを解説で扱っています。契約前に確認しておける項目です。

まとめ

親知らずの抜歯費用について、整理すると次のようになります。

  • 費用は2つの軸で決まる — 生え方(処置の区分)と、抜く理由(保険の可否)
  • 🔴 2つは独立しており、片方だけでは金額が決まらない — 難しい処置でも保険が使えることがあり、簡単でも自由診療になることがある
  • 生え方による区分は3つ — まっすぐ/分割や骨の削除が要る/埋まっている。横向きは最も手間がかかる区分に入りやすい
  • 保険診療であれば、金額の幅は医院の裁量ではなく処置の区分による
  • 🔴 「矯正のため」でも、病的な所見があれば保険の対象になりうる — ただし判断するのは歯科医師
  • 処置以外に、初診料・撮影・投薬の費用が加わる
  • 本数分を単純に掛け算しても総額にはならない — 4本が同じ区分とは限らない

金額を見積もるときは、自分の親知らずが2軸のどこに当たるかを確認するところから始まります。

出典

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