インビザラインでの矯正を考えて費用を調べると、70万円と書いてあるサイトもあれば、120万円と書いてあるサイトもあります。倍近い開きがあると、どの数字を基準に予算を組めばいいのか分からなくなります。
同じ治療法なのに金額が定まらないのは、情報が不正確だからではありません。インビザラインには、価格が一つに決まらない仕組み上の理由があります。
その構造を理解すると、相場を探し続けても答えが出ない理由が分かります。そのうえで、パッケージ別の相場、装置代以外にかかる費用、総額の見積もり方を順に整理していきます。
インビザラインの費用に幅がある理由
金額がばらつく背景には、3つの要因があります。ここを押さえておくと、この後の相場表の読み方が変わります。
ブランドが治療費を決めていない
インビザラインは、アメリカのアライン・テクノロジー社が提供するマウスピース矯正です。世界で1,400万人以上が治療に使用しており、マウスピース矯正の中では最も普及したブランドといえます。
ここで押さえておきたいのが、治療費を決めているのはブランドではなく、導入している各クリニックだという点です。
インビザラインにはパッケージという区分がありますが、これは対応できる症例の範囲を示すものです。それぞれの価格をブランド側が定めているわけではありません。装置の仕入れ値や技術料をもとに、各医院が独自に治療費を設定しています。
つまり「インビザラインはいくらか」という問いに、全国共通の答えは存在しません。医院ごとに価格が違うのは、この仕組みによるものです。
症例の難易度で使うパッケージが変わる
もう一つの要因が、症例による違いです。
歯を大きく動かす必要がある場合と、前歯を少し整えるだけの場合では、必要なマウスピースの枚数も治療期間も変わります。インビザラインではこの違いに応じて複数のパッケージが用意されており、どれを使うかで金額が大きく動きます。
軽度なら20万円台から、全顎の難症例なら100万円を超えることもあります。この幅が、相場が一定しない理由の一つです。
医院ごとに含まれる項目が違う
三つ目が、表示価格の範囲です。
ある医院の「80万円」には調整料と保定装置代が含まれ、別の医院の「80万円」は装置代だけということが起こります。同じ数字でも意味が違うため、並べても比較になりません。
インビザラインは自費診療のため、全体の費用も内訳も医院によって異なります。ここは仕組みとして受け止めておく必要があります。
パッケージ別の費用相場
インビザラインには、対応する症例の範囲に応じた種類があります。それぞれの目安を整理します。
| パッケージ | 費用相場の目安 | 対応する症例 | アライナー枚数 | 治療期間の目安 |
|---|---|---|---|---|
| コンプリヘンシブ | 70万〜120万円 | 全顎矯正・難症例 | 無制限 | 約2年(最長3年) |
| モデレート | 70万〜90万円 | 中程度の症例 | — | 症例による |
| ライト | 30万〜70万円 | 軽度・矯正後の後戻り | 片顎14枚まで | 4ヶ月〜最長2年 |
| エクスプレス | 20万〜40万円 | ごく軽度 | 片顎7枚まで | 3〜4ヶ月 |
| インビザラインGo | 30万〜50万円 | 前歯から小臼歯の部分矯正 | 片顎20枚まで | 約6〜10ヶ月 |
| インビザラインFirst | フェーズ1で60万〜70万円 | 混合歯列期の子ども | 無制限 | フェーズ1は18ヶ月以内 |
※上記は複数の情報源をもとにした目安であり、実際の費用は医院・症例により異なります。
コンプリヘンシブ
もっとも適応範囲が広いパッケージです。マウスピースの使用枚数に制限がなく、抜歯を伴う治療や噛み合わせの調整にも対応できます。
全顎的に歯を動かす場合はこれが選ばれます。期間も長く、費用も高くなります。
ライト・エクスプレス
軽度の乱れや、以前に矯正した歯の後戻りに用いられます。使えるマウスピースの枚数に上限があり、その範囲で治療が完了する症例が対象です。
エクスプレスは片顎7枚までと枚数が少なく、期間も3〜4ヶ月と短めです。その分、対応できる範囲は限られます。
インビザラインGo
奥歯を除いた前歯から小臼歯までを動かす部分矯正のプランです。前歯の見た目が気になる場合に選択肢となります。
全顎を動かさないため、噛み合わせ全体に問題がある場合は適応外です。
パッケージは自分で選べない
ここは誤解されやすい点です。費用を抑えたいからライトを選びたい、と考える方は少なくありません。
ただしパッケージは、歯科医師が診断結果をもとに決めるものです。歯を動かす距離や本数から必要な枚数が算出され、それに見合うパッケージが適用されます。
安いパッケージで無理に治療を進めると、枚数の上限に達して計画が完了しないことがあります。予算からパッケージを逆算するのではなく、診断を受けてから予算を検討する順序になります。
自由診療に関する注記
マウスピース型矯正装置による歯列矯正は自由診療(保険適用外)です。上記の相場は一般的な目安であり、実際の費用は症例・医院により異なります。マウスピース矯正 Oh my teeth の場合、標準的な費用はLiteプラン 150,000円(税込)、Basicプラン 330,000円(税込)、Proプラン 660,000円(税込)です。主なリスク・副作用として、歯の痛みや違和感、歯根吸収、歯ぐきの退縮に伴うブラックトライアングル(歯と歯の間の隙間)などが生じる場合があります。重度の歯周病や顎関節症のある方、骨格性の不正咬合が強い方などは治療をお受けいただけない場合があります。なおLiteプランには安心保証制度・ワイヤー補償は付帯しません(Basic・Proプランのみ)。
装置代以外にかかる費用の内訳
矯正でかかる費用は装置代だけではありません。見積もりを読むときは、次の項目がどう扱われているかを確認します。
| 費用項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| カウンセリング料 | 無料〜1万円程度 |
| 精密検査・診断料 | 1万〜3万円程度 |
| 装置料(矯正費用本体) | 全顎70万〜120万円/部分20万〜70万円 |
| 調整料・処置料 | 1回3,000〜6,000円程度 |
| 保定装置(リテーナー)代 | 1万〜6万円程度 |
カウンセリング料
初回相談の費用です。無料の医院もあれば、5,000円から1万円程度かかる医院もあります。
複数の医院で話を聞きたい場合、この差が積み重なります。
精密検査・診断料
レントゲンや歯型のデータを取り、治療計画を立てるための費用です。1万円から3万円程度が目安になります。
治療を始めなくても、検査を受けた時点で費用が発生する医院がほとんどです。
調整料・処置料
通院ごとにかかる費用です。1回あたり3,000円から6,000円程度が相場とされています。
見落とされやすいのがこの項目です。月に1回の通院を2年続ければ24回。1回5,000円なら12万円が装置代に加算されます。装置代が同じ80万円でも、調整料込みかどうかで総額は10万円以上変わります。
保定装置(リテーナー)代
治療後、動いた歯が戻らないよう固定する装置の費用です。1万円から6万円程度が目安です。
保定は矯正とセットで必要になります。含まれていない場合は総額に加算されると考えておくほうが実態に近くなります。保定装置の費用については【大阪】関西でリテーナーを安く作るならここ!でも扱っています。
追加アライナーの費用
治療中に歯の動きが計画とずれた場合、マウスピースを作り直すことがあります。これをリファインメントと呼びます。
無料で対応する医院と、都度費用が発生する医院があります。何回まで無料か、有料ならいくらかは、契約前に確認しておきたい項目です。
総額をシミュレーションしてみる
内訳を足し合わせると、実際にどのくらいになるのかが見えてきます。あくまで一例として、2つのケースで計算してみます。
全顎矯正を2年受けた場合の例
コンプリヘンシブで治療した場合の積み上げです。
カウンセリング5,000円、精密検査3万円、装置代80万円、調整料5,000円×24回で12万円、保定装置3万円。合計すると98万5,000円になります。
装置代の80万円だけを見て予算を組んでいた場合、18万5,000円の開きが出ます。
部分矯正を10ヶ月受けた場合の例
インビザラインGoで前歯を整えた場合の積み上げです。
カウンセリング無料、精密検査2万円、装置代40万円、調整料4,000円×10回で4万円、保定装置2万円。合計で48万円ほどです。
同じパッケージでも医院差が出る
上の試算はあくまで一例です。装置代が同じでも、調整料が総額に含まれる医院では合計が下がります。逆に精密検査が5万円の医院なら上がります。
だからこそ、相場を調べ続けても自分の金額は確定しません。自分の症例で見積もりを取ることが、唯一はっきりする方法です。
見積もりを取ること自体に費用がかからない医院を選べば、複数の選択肢を並べて検討できます。大阪心斎橋矯正歯科では、診察料・検査料無料で無料カウンセリングを実施しています。
見積もりを取るときに確認したいこと
見積もりを受け取ったら、金額だけでなく中身を確認します。聞くことを決めておくと、医院ごとの違いが浮かび上がります。
まず総額に何が含まれるかです。調整料、保定装置代、追加アライナー代が入っているかを一つずつ確認します。「総額」という言葉の範囲は医院によって違うため、項目名を挙げて聞くほうが確実です。
次に、治療が延びた場合の扱いです。予定より期間が延びたとき、追加費用が発生するのかを聞いておきます。調整料が都度かかる体系では、期間が延びればその分だけ増えます。
追加アライナーについても確認します。何回まで無料か、有料の場合はいくらか。マウスピース矯正では珍しいことではないため、事前に把握しておくと想定とのずれを防げます。
最後に支払いのタイミングです。一括なのか、分割か、治療の進行に応じた都度払いか。分割の場合は金利や手数料の有無も含めて、総支払額で比べます。
カウンセリングで何を聞くかは、矯正の相談で話す内容は?聞くことや費用を紹介でも整理しています。
料金体系の型で比べる
マウスピース矯正のブランドは、価格の決まり方でいくつかの型に分かれます。この違いを知っておくと、比較の軸が定まります。
クリニックが価格を決める型
インビザラインはこの型です。ブランドは装置とプラン区分を提供し、治療費は各医院が設定します。
この形の利点は、医院が症例や体制に応じて柔軟に価格を組めることです。適応範囲が広く、難症例まで対応できる点も、多くの医院が導入している理由といえます。一方で、総額は見積もりを取るまで確定しません。
ブランドが全国一律で価格を決める型
導入しているクリニックであればどこでも同じ料金という体系もあります。装置代・調整料・保定装置を含んだ総額が契約時に確定するトータルフィー制と組み合わさることが多い形です。
マウスピース矯正 Oh my teeth はこの型で、標準的な費用はLiteプラン 150,000円(税込)、Basicプラン 330,000円(税込)です。診察料・検査料はかからず、追加費用も原則発生しません。通院は最低1回※から進められます。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
どちらが向いているかは重視する点による
優劣の話ではありません。何を重視するかで向き不向きが分かれます。
幅広い症例への対応を重視するなら、適応範囲の広い選択肢が候補になります。予算を先に固めたい、比較の手間を減らしたいなら、総額が最初から確定する体系が向きます。
自分がどちらのタイプかを決めてから探すと、候補が絞りやすくなります。
自由診療に関する注記
マウスピース型矯正装置による歯列矯正は自由診療(保険適用外)です。マウスピース矯正 Oh my teeth の標準的な費用はLiteプラン 150,000円(税込・平均約2ヶ月)、Basicプラン 330,000円(税込・平均約3ヶ月)、Proプラン 660,000円(税込・平均約6ヶ月)です。記載の期間は歯を動かす矯正期間であり、後戻りを防ぐ保定期間は含みません。主なリスク・副作用として、歯の痛みや違和感、歯根吸収、ブラックトライアングルなどが生じる場合があります。重度の歯周病や顎関節症のある方、骨格性の不正咬合が強い方などは治療をお受けいただけない場合があります。Liteプランには安心保証制度・ワイヤー補償は付帯しません(Basic・Proプランのみ)。
費用を抑えたい場合の考え方
予算に上限がある場合、いくつかの方向から負担を軽くできます。
部分矯正で対応できるか確認する
気になる箇所が前歯に限られるなら、部分矯正が選択肢になります。動かす範囲が狭い分、費用も期間も抑えられます。
ただし適応かどうかは診断次第です。噛み合わせ全体に問題がある場合は対象外となります。
医療費控除の活用
矯正治療は、噛み合わせの改善など機能面を目的とする場合、医療費控除の対象になります。1年間の医療費が一定額を超えると、確定申告によって所得税の一部が還付されます。
家族分を合算できるため、想定より対象になりやすい制度です。詳しくは歯科矯正で使える医療費控除のやり方は?をご覧ください。
分割払い・デンタルローン
総額は変わりませんが、月々の負担を平準化できます。金利や手数料の有無は取り扱いによって異なるため、総支払額で比較します。
精密検査が無料の医院で見積もりを取る
比較検討そのものにかかるコストを下げる方法です。検査が1院3万円なら3院で9万円になりますが、無料の医院であればゼロで済みます。
費用を抑える方法は安い矯正方法はどれ?費用を抑えるポイントを解説でも扱っています。
金額の全体像がつかめたら、自分の症例ではいくらになるのかを確かめる段階です。
インビザラインと他の矯正方法の費用比較
装置を横断して見ると、金額の位置づけが分かります。
ワイヤー矯正では、表側矯正が60万〜120万円程度、裏側矯正が80万〜170万円程度が相場とされています。インビザラインの全顎矯正はこの範囲と重なります。装置が目立たないことを理由にマウスピースが選ばれることは多いものの、費用面で大きく安くなるわけではありません。
一方、マウスピース矯正の中には部分矯正に特化して価格帯を抑えたブランドもあります。対応範囲が狭い分、費用も下がる関係です。
どの装置が向いているかはインビザライン(マウスピース矯正)とワイヤー矯正どっちを選ぶ?、マウスピース矯正全般の価格帯はマウスピース矯正の値段はいくら?、矯正全体の費用は歯列矯正の費用はいくらかかる?で扱っています。
よくある質問
Q. インビザラインのパッケージは自分で選べますか?
選べません。歯科医師が診断結果をもとに、動かす歯の本数や距離から必要なパッケージを判断します。費用を抑えたいという理由で下位のパッケージを選ぶと、マウスピースの枚数が足りず治療が完了しないことがあります。
Q. 治療が計画より延びたら費用は増えますか?
料金体系によります。調整料が通院ごとにかかる体系では、期間が延びればその分だけ増えます。総額を先に確定する体系であれば、原則として変わりません。契約前にどちらの形かを確認してください。
Q. インビザラインに医療費控除は使えますか?
噛み合わせの改善など機能面を目的とする場合は対象になります。審美目的のみと判断される場合は対象外となることがあります。領収書は保管し、判断に迷うときは治療内容を踏まえてクリニックや税務署にお尋ねください。
Q. 同じインビザラインなのに医院で金額が違うのはなぜですか?
治療費を決めているのがブランドではなく各クリニックだからです。装置の仕入れや技術料をもとに医院が独自に設定しています。加えて、表示価格に調整料や保定装置代が含まれるかどうかも医院ごとに異なります。
まとめ
インビザラインの費用は、パッケージによって20万円台から120万円程度まで幅があります。コンプリヘンシブは全顎の難症例まで対応でき70万〜120万円程度、部分矯正のGoは30万〜50万円程度が目安です。
ただしこの金額は装置代の話です。実際にはカウンセリング料、精密検査料1万〜3万円、調整料1回3,000〜6,000円、保定装置代1万〜6万円が加わります。調整料は通院のたびにかかるため、2年間で12万円ほど積み上がることもあります。
そして最も重要な点は、インビザラインの治療費をブランドが決めていないことです。価格を設定しているのは各クリニックであり、だからこそ調べるサイトごとに金額が違います。
相場を探し続けても、自分が支払う金額は確定しません。診察料・検査料が無料の医院であれば費用をかけずに見積もりを取れます。自分の症例で数字を出してもらうことから始めてみてください。

