歯並びが整っても、歯の色が気になったままでは思い描いた状態には届きません。矯正を終えてからホワイトニングを始めれば、そこからさらに数ヶ月かかります。
写真を残す予定がある方や、期限を意識して動いている方にとって、順番に進める余裕はないかもしれません。両方を並行して進められないかと考えるのは自然なことです。
結論から言えば、マウスピース矯正とホワイトニングは同時に進められます。ただし、いつ始めるかによって仕上がりが変わります。可否そのものより、時期の見極めが本題です。順に整理していきます。
マウスピース矯正中でもホワイトニングはできる
マウスピース矯正とホワイトニングの併用は可能です。ワイヤー矯正と比べて条件が整いやすい治療法といえます。
装置を取り外せる
ワイヤー矯正では、ブラケットという装置を歯の表面に接着します。この装置が付いている間は、覆われた部分に薬剤が届きません。装置を外すまでホワイトニングが難しいのはこのためです。
一方マウスピース矯正では、装置を自分で取り外せます。食事や歯みがきのときに外すのと同じように、ホワイトニングの時間を確保できます。
矯正用マウスピースを流用できる場合がある
ホームホワイトニングでは、薬剤を入れるためのマウスピースを歯科医院で作ります。
矯正中であれば、治療用のマウスピースをこの用途に使える場合があります。新たに型を取って製作する手間と費用が省ける点は、併用しやすさにつながっています。
ただし、すべてのケースで流用できるわけではありません。歯の状態や使用する薬剤によって判断が変わるため、担当の歯科医師に確認が必要です。マウスピース矯正の基本的な仕組みについてはマウスピース矯正とは?改善できる症例5つもご覧ください。
始める時期には適切なタイミングがある
可能であることと、いつでも始めていいことは別です。
矯正の進行段階によっては、色ムラが出やすい時期があります。この点は後ほど詳しく扱います。
同時に進めるメリット
併用を選ぶ理由は、主に時間と費用にあります。
全体の期間を短縮できる
もっとも大きいのが期間です。
矯正を完了させてからホワイトニングを始めると、それぞれの期間が単純に足し算になります。矯正が1年、ホワイトニングが数ヶ月なら、合計で1年数ヶ月です。
並行して進めれば、矯正が終わる頃には歯の明るさも改善している状態を目指せます。期限がある方にとって、この差は小さくありません。
マウスピースを新たに作る費用と手間が省ける
前述のとおり、矯正用のマウスピースをホワイトニングに使える場合があります。
ホームホワイトニング用のマウスピースを別途作ると、型取りの通院と製作費が発生します。流用できればこの工程を省けます。
通院の回数をまとめられる
矯正の経過確認とホワイトニングの相談を同じ機会にまとめられます。
別々の医院で受ける場合、それぞれに予約を取り、それぞれに通うことになります。ひとつの計画として進めれば、通院にかかる時間を抑えられます。
ホワイトニングの3つの方法
ホワイトニングには方式がいくつかあり、矯正中の向き不向きが分かれます。
| 方式 | 実施場所 | 薬剤の濃度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| オフィスホワイトニング | 歯科医院 | 高濃度 | 30分〜1時間程度で変化を実感しやすい |
| ホームホワイトニング | 自宅 | 低濃度 | 時間はかかるが知覚過敏が起きにくい |
| デュアルホワイトニング | 両方 | 併用 | 持続性が高い一方、費用と時間がかかる |
オフィスホワイトニング
歯科医院で高濃度の薬剤を使い、光を当てて反応を促す方法です。1回の施術で変化を感じやすいのが特徴です。
ただし矯正中は、アタッチメントの有無によって薬剤の当たり方に差が出ます。色ムラが気になる時期には向かない場合があります。
ホームホワイトニング
低濃度の薬剤をマウスピースに入れ、自宅で一定時間装着する方法です。
効果が現れるまで日数がかかりますが、薬剤が穏やかなぶん知覚過敏が起きにくいとされています。矯正中に選ばれやすいのはこの方式です。矯正用マウスピースを流用できる可能性があるのも、ホームホワイトニングです。
デュアルホワイトニング
オフィスとホームを組み合わせる方法です。歯科医院で施術したうえで自宅でも継続するため、明るさの持続が期待できます。
その分、費用と通院の負担は大きくなります。時間に余裕がある場合の選択肢です。
なお、いずれの方式でも変化の度合いには個人差があります。もとの歯の色や質によって、期待できる改善の幅は変わります。
始める時期をどう見極めるか
ここが本題です。同じ治療でも、始める時期によって仕上がりが変わります。
アタッチメントがある間は色ムラが出やすい
マウスピース矯正では、歯の表面にアタッチメントという小さな突起を付けることがあります。マウスピースがしっかり歯をつかみ、計画どおりに動かすための部品です。
このアタッチメントが付いている部分には、ホワイトニングの薬剤が届きません。突起そのものが歯の表面を覆っているためです。
結果として、周囲は明るくなったのにアタッチメントの下だけが元の色のまま残ります。矯正が進んでアタッチメントを外したとき、その部分が斑点のように見えることがあります。
歯が重なっている段階では着色部分が隠れている
もうひとつ、見落とされやすい理由があります。
歯並びが乱れている状態では、歯と歯が重なり合っています。重なりの内側は外から見えず、当然ながら薬剤も届きにくくなります。
この段階でホワイトニングをしても、見えている面だけが明るくなります。矯正が進んで歯が並ぶと、それまで隠れていた面が表に出てきます。そこだけ色が違えば、やはりムラとして現れます。
つまり歯を動かしてから色を整えるほうが、順序として理にかなっています。矯正を先行させるべきだと言われるのは、このためです。
マウスピース交換から数日後が落ち着くとされる理由
新しいマウスピースに交換した直後は、歯に新たな力がかかります。この時期は歯が動き始めるタイミングで、痛みや違和感を感じやすくなります。
交換から3〜4日ほど経つと動きが落ち着き、敏感さも和らいでくるとされています。ホワイトニングの薬剤による刺激を重ねるなら、この落ち着いた時期のほうが負担が少なくなります。
覚えておきたいのは日数そのものより、歯が敏感な時期に刺激を重ねないという考え方です。
保定期間は歯並びが安定している
矯正が終わると、動いた歯が戻らないよう保定装置を使う期間に入ります。
この時期には歯並びが安定し、アタッチメントも外れています。薬剤が全体に均一に届くため、ホワイトニングに適した時期とされています。保定装置をホワイトニング用に使えることもあります。
保定期間の過ごし方については矯正後に使うリテーナーとは?期間や装着時間を解説で扱っています。
適切な時期は、アタッチメントをいつ外すか、歯がいつ並ぶかという治療計画によって変わります。自分の計画に当てはめて判断するには、診断を受けるのが確実です。大阪心斎橋矯正歯科では、診察料・検査料無料で無料カウンセリングを実施しています。
併用するときの注意点
同時に進める場合、いくつか気をつけたい点があります。
色ムラのリスクと出た場合の考え方
アタッチメントや歯の重なりによって色ムラが生じる可能性は、前述のとおりです。
もしムラが出ても、取り返しがつかないわけではありません。アタッチメントを外した後に改めて全体へ薬剤を行き渡らせることで、差が目立たなくなっていくことがあります。ただし追加の期間と費用がかかります。
最初からムラが出にくい時期を選ぶほうが、結果的に負担は小さくなります。
知覚過敏が重なりやすい
矯正で歯を動かしている間は、歯が敏感になりやすい状態です。冷たいものがしみると感じる方もいます。
ここにホワイトニングの薬剤が加わると、刺激が重なります。もともと知覚過敏の傾向がある方は、この点を歯科医師に伝えたうえで方式を選んでください。低濃度のホームホワイトニングから始める、期間を分けるといった調整ができます。
装着時間との両立
マウスピース矯正では1日20〜22時間の装着が前提です。この時間を確保できないと、歯が計画どおりに動きません。
ホームホワイトニングで矯正用マウスピースを使う場合、その時間は装着時間としてカウントされます。薬剤を入れた状態でも、マウスピース自体は歯に力をかけているためです。
ただし別のマウスピースを使う場合や、オフィスホワイトニングで数時間外す場合は、その分だけ装着時間が減ります。どの方式を選ぶかによって扱いが変わるため、事前に確認しておく必要があります。
薬剤の使用量と時間は指示に従う
早く白くしたいという気持ちから、薬剤を多く使ったり装着時間を延ばしたりするのは避けてください。
歯や歯ぐきへの刺激が強くなり、痛みや炎症につながることがあります。指示された量と時間を守ることが、結果的に安定した仕上がりにつながります。
ホワイトニングを避けたほうがよいケース
安全に進めるために、事前に確認しておきたい条件があります。
虫歯や歯周病がある場合は先に治療する
虫歯があると、薬剤がしみて強い痛みを感じることがあります。歯周病で歯ぐきに炎症がある場合も同様です。
これらがある場合は治療を先に済ませます。矯正についても同じで、口腔内を整えてから始める流れになります。詳しくは歯科矯正は虫歯があってもできる?をご覧ください。
16歳未満には推奨されない
成長途中の歯はエナメル質が十分に成熟しておらず、薬剤の刺激を受けやすい状態です。このため16歳未満へのホワイトニングは推奨されていません。
妊娠中・授乳中は相談が必要
安全性が確立されていないため、この時期のホワイトニングは控えるのが一般的です。時期をずらす形で計画を立てます。
詰め物・被せ物は白くならない
ホワイトニングの薬剤が作用するのは天然の歯です。セラミックやレジンなどの人工物には効果がありません。
前歯に詰め物がある場合、周囲の歯だけが明るくなって色の差が目立つことがあります。この場合は詰め物を作り直すかどうかを含めて相談することになります。
費用の考え方
費用は方式によって幅があります。矯正費用に含まれるかどうかも医院によって異なります。
方式による違い
オフィスホワイトニングは1回あたりの施術費、ホームホワイトニングは薬剤とマウスピースの費用が基本です。デュアルは両方を含むため合計は高くなります。
具体的な金額は医院ごとに設定が異なるため、見積もりの段階で確認してください。
矯正用マウスピースを流用できる場合の差
ホームホワイトニング用のマウスピースを別途作ると、その製作費が加わります。矯正用を流用できれば、薬剤代のみで済む可能性があります。
この点は費用差として実質的に効いてきます。
矯正費用に含まれるか別途かを確認する
矯正の総額にホワイトニングが含まれる場合と、別料金の場合があります。
契約前に、どちらの扱いなのかを確認しておくと予算が読めます。マウスピース矯正 Oh my teeth の場合、矯正の標準的な費用はLiteプラン 150,000円(税込)、Basicプラン 330,000円(税込)です。診察料・検査料はかからず、通院は最低1回※から進められます。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
自由診療に関する注記
マウスピース型矯正装置による歯列矯正およびホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。マウスピース矯正 Oh my teeth の標準的な費用はLiteプラン 150,000円(税込・平均約2ヶ月)、Basicプラン 330,000円(税込・平均約3ヶ月)、Proプラン 660,000円(税込・平均約6ヶ月)です。記載の期間は歯を動かす矯正期間であり、後戻りを防ぐ保定期間は含みません。主なリスク・副作用として、歯の痛みや違和感、歯根吸収、歯ぐきの退縮に伴うブラックトライアングル(歯と歯の間の隙間)などが生じる場合があります。ホワイトニングでは知覚過敏や歯ぐきへの一時的な刺激が生じる場合があり、詰め物・被せ物には効果がありません。重度の歯周病や顎関節症のある方、骨格性の不正咬合が強い方などは矯正治療をお受けいただけない場合があります。なおLiteプランには安心保証制度・ワイヤー補償は付帯しません(Basic・Proプランのみ)。
矯正とホワイトニングを1院で相談する利点
両方を検討している場合、扱っている医院で一度に相談できると計画が立てやすくなります。
アタッチメントの位置と時期を踏まえて設計できる
ホワイトニングを始める適切な時期は、アタッチメントをいつ付けていつ外すかによって変わります。
矯正の計画を持っている医院であれば、この情報を踏まえて時期を提案できます。別々の医院で進めると、矯正の進行状況を伝える手間が生じ、判断も分かれやすくなります。
歯の状態を把握したうえで方式を選べる
知覚過敏の程度、詰め物の有無、歯ぐきの状態。これらを把握している歯科医師であれば、その人に合った方式と濃度を選びやすくなります。
矯正のカウンセリングで一緒に相談してよい
ホワイトニングの相談は、矯正とは別の窓口だと考える方がいます。実際には、矯正のカウンセリングでまとめて聞いて差し支えありません。
治療後の見た目をどうしたいかを最初に共有しておけば、それを前提とした計画を組めます。仕上がりのイメージについてはマウスピース矯正のビフォーアフターを症例写真付きで紹介も参考になります。
矯正とホワイトニングをまとめて相談したい場合も、まずは診断から始まります。
よくある質問
Q. 矯正とホワイトニング、どちらを先にするべきですか?
歯を動かしてから色を整える順序が理にかなっています。歯が重なっている段階では隠れている面に薬剤が届かず、並んだ後に色の差が出るためです。同時進行する場合も、歯がある程度並んでから、あるいはアタッチメントを外した後に本格的に始めると仕上がりが安定します。
Q. ホワイトニングでマウスピースを使う時間は矯正の装着時間に含まれますか?
矯正用マウスピースをそのまま使う場合は含まれます。装置が歯に力をかけている状態は変わらないためです。一方、ホワイトニング専用のマウスピースを使う場合や、オフィスホワイトニングで外す場合は、その時間は装着時間から差し引かれます。方式によって扱いが違うため事前に確認してください。
Q. 色ムラが出たらどうすればいいですか?
アタッチメントを外した後に全体へ改めて薬剤を行き渡らせることで、差が目立たなくなっていくことがあります。ただし追加の期間と費用がかかるため、担当の歯科医師に相談したうえで進めてください。
Q. 矯正が終わってからのほうが確実ですか?
仕上がりの均一さという点では、歯並びが安定した後のほうが条件は整います。保定期間はアタッチメントもなく、薬剤が全体に届きやすい時期です。時間に余裕があるなら矯正完了後という選択も合理的です。期限がある場合に、並行して進める選択肢があると考えてください。
まとめ
マウスピース矯正とホワイトニングは同時に進められます。装置を取り外せること、矯正用マウスピースをホワイトニングに流用できる場合があることが、併用しやすい理由です。
ただし始める時期によって仕上がりが変わります。アタッチメントが付いている部分には薬剤が届かず、歯が重なっている段階では隠れた面が明るくなりません。どちらも、後から色ムラとして現れます。
歯を動かしてから色を整える。この順序を意識すると、ムラのリスクを抑えられます。保定期間は歯並びが安定しており、条件の整った時期です。
適切な時期は治療計画によって変わります。矯正の相談の際に、ホワイトニングも含めて聞いてみてください。

